世界は狂っている(映画感想)2016年12月14日 14時21分51秒

「この世界の片隅に」を観てきた。
原作の暖かさ、空気感はそのまま。
最初、すずさんの声が深すぎるかな、と思ったが、それもすぐ慣れた。


省かれたり、わかりやすく組み替えてあるところもあった。
残念なのは、りんさんの存在がかなり薄いこと。
バックグラウンドとして、もう少し、入っているとよかったと思う。
時々「おや?」と思う違和感のあるシーンは、もしかして、その分あとからカットしたところなのだろうか。


ストーリーがシンプルになった分、原作のような深みは減じているものの、メッセージ性は強くなったと思う。
タイトルの通り、僕が感じたのは「世界は狂っている」ということだった。その中にも、幸福はあり得るのだと、原作者が伝えたい部分が見えにくいのは残念だが、この気付きは強烈だった。


既存の社会に従い、正義を信じ、とても耐え切れないことにも耐えつつ日々を暮らしていても、その正義が偽りのものであると知ってしまったら。そして何時の世にも偽りの正義が世界を動かしているとしたら。
なぜそんな事が起き続けているのだろう。
あの物語は60年以上前の日本で、現実に起きていたことをベースにつくられている。
そして、今でも、世界の何処かで、誰かが同じような、あるいはもっと悲惨な目にあっている。


そして現代日本に暮らす我々は、その上に暮らしている。
いや、その中に。
僕が病気になったことですら、無関係ではない。
世界は狂っている。その中で正気を保つのは、並大抵のことではない。


でも作者は絶望しない。
なんという強さだろう。
ささやかな幸福でも、それは、狂気に対する勝利だ。
僕はそんな風に感じた。